大野が止まらない

※個人的妄想。苦手な方はご遠慮ください。

アルテミスに話を戻そう。

結局俺は

隣のテーブルに見られてしまったちび達を

どうにもすることができなかった。

見える見えない問題解決のために

天使が次に遣わした（と、俺は推測）のは

ベール姿の占い師だった。

「お告げがございましたの。

　妖精の通り道をお探しなのは

　皆様ですか。」

ベール以外はなんら怪しいところのない

信頼できそうな声で話す女性。

ウルトラな母？

ウルトラの母？

「花火があがりますと

　幾つもの世界の扉が開きます。

　同時に

　幾重にも結界が張られます。

　それでも　見える辻もございますから。」

ご婦人方は色めき立ち

そそくさとデザートを済ませる。

718君も　その占い師を信じたようだ。

俺に訊いて得られなかった答えを

彼女から得ようとしている。

うん、得られるんじゃないかな。

占い師が

隣の御一行を引き連れて去っていった

（ちびも連れて）。

去り際に　天使に会釈していったから

たぶんちびは大丈夫なんだろう。

花火大会までの残り時間は

少なくなった。

「しょぉくん、

　このデザート美味いぞ

　食ってみ？

　イギリスのJUNていうぱてぃしえ？

　ぱてぃすりー？のお弟子さんたちが

　作ったんだって。」

智くんが激推しするので

デザートの時間は短縮できず。

ああッ兄さん、

ブランデーのお代わりなんかして。

呑みすぎないでくださいよ？

「マジ美味い」

「だべ？」

でも、兄さん

花火が始まってしまう。

俺の焦りをよそに

智くんはステンドグラスを観る

と言い張る。

「しょぉくん気付いた？

　キレイな窓があるんだって！」

智くぅぅんのほうが

余程綺麗だよ。

はっきり声に出して言ったはずなのに

それは何故か音にならない。

「大野画伯の仕事なら

　そこもとも興味があるであろう。」

俺の声をかき消したウリエル様のセリフ。

はい、興味はありますとも。

でも、時間が。

天使様に港に飛ばしてもらって

そこから待たせているクルマで

移動するから・・・

「心配しないで。」

心得顔のガブリエル様が

そう俺に言う。

やはりバレているな、

俺の計画^^;

乗船の皆さんも　食事を済ませ

花火を待つだけのようだ。

「ちびが戻ってきた。」

ステンドグラスを見つめている

智くんの横顔に　そう語りかける。

智くんは　俺の視線の先を見る。

横顔だけでなく

この角度も素敵だよ、智くぅぅん

「しょぉちゃん、違う、

　あれはれっきとした人間。

　スゲぇな、三つ子ちゃんだ。」

「え？人間？」

よく見れば確かに。

ちび共とは違う

スベスベお肌に　ガキっぽい体型だ。

智くんそっくりだけど。

あんな小さい頃の智くんに

会いたかったな。

ところで兄さん

ステンドグラスは堪能しましたか。

花火が始まる前に

移動したいんですけど・・・