大野のことならなんでもありです。

1度で2度効く大野

「あっ??」

「なっ・・・なんですかっ?? 急にっ??

ビックリさせないでくださいよ」
「あ・・・・・・ごめん」
「なんです??」
「や・・・・なんでもないよ・・・ほんと ごめん」
そう言いながら
あなたの 視線は 後輩達と 雑談してる
翔ちゃんに 釘付けじゃないですか
「行けば?」
「えっ??・・・何の事?」

「気になるんでしょ・・・翔ちゃんが?」
「べ・・・・べつに・・・・・・・・ああっ」
別に・・・って言ってる 側から・・・じゃないですか
そりゃ・・・気になりますよね
翔ちゃんの 側を 陣取って 離れないのは
翔ちゃんを 慕ってるって 公言してる 風磨だもんね
それに 当たり前のように

翔ちゃんの 腕や 肩を 触りまくってる・・・増田も
それと ジュニアの頃 憧れてたって 言ってる 上田に
しょっちゅう 御飯に 行く・・・という 千賀 も

また・・・自分を 慕ってる 後輩に 囲まれてるせいか
翔ちゃんの顔が 情けない程・・・だらしないっ??
「ああっ??」
一際大きな声の 大野さんに 釣られて
翔ちゃん達を 見ると

翔ちゃんが 風磨の 肩に 手を乗せて
もう片方の手を・・・

「・・・・それは・・・」
「あれが ・・・・何です?」
「右・・手・・・・・」
みぎて?・・・・・・右手?・・・・手?
翔ちゃんの 右手を 肩から 辿っていくと
その先が 今 増田の 背中に・・・

「触ってますね・・・・背中を」
「うっ・・・・・」
「お・・・大野さんっ??・・・えっ??・・・ちょっ・・・あなた」
翔ちゃん達の 群れに 背を向けて
転げるように 階段を 降りて行った
大野さんっ?? まっ・・・待ってっ?? どこ行く・・・あっ??」

「危ねぇなあっ??」

バランスを 崩して 落ちかけた 大野さんを 抱きとめたのは

「翔ちゃんっ?? ・・・えっ・・・嘘っ・・・速っ??」

「翔・・・・くん・・・」
「何やってんのよ 危ないだろっ??

もうちょっと 俺が 遅かったら あなた 完全に 落ちてたよっ??」

「・・・だっ・・・・・だって・・・翔くんが」
「俺??・・・俺が なにぃ??」

翔くんの 肩の 向こうで
両手を広げて 風磨達を せき止めてる ニノが
首を 回して ウィンクしてきた

「俺の・・・・」
「んっ??・・・俺の??」
左手で 階段の 手摺を 掴み
右手は 俺の 腰を 一周してる
「右手・・・」
「右手?・・・んっ??

これ離すと 智くん 落ちちゃうよっ」
「・・・・離す・・・・の?」
いつまでも その アンバランスな 状態の 俺らを
幾つもの 好奇と 羨望と 興奮気味の 視線が
遠くからでも 覗き込んでいる
「離すわけないだろっ・・・一生」

「一生??・・・・このまま?」
「ふふふっ・・・それは 困るかも・・・

正直 もう 指が 痺れて 感覚なくなってきてるからさ」

「えっ??」
「このまま 左手を 離して

2人 一緒に ・・・落ちるってのも 良いけど 俺は」

「だめっ?? それはっ??」
「あ・・・動かな・・・」

ダンッ?? ドサッ??

「いっ・・・・てぇ・・・あっ?? 智くん?? 大丈夫??」
感覚の 失った 左手は

ちょっとした 衝撃にも 耐えられなかった

ほんの 数段だったけど
あなたを 抱き締めたままの 体は
智くんを 下敷きにして 着地してしまった

「智くんっ?? 智くんっ??」
俺の 悲鳴に近い 叫び声に
せき止めていた ニノを 先頭に
顔色を 失くした 後輩達が 飛んで来た
「智くんっ?? 智くんっ??・・・・智くんっ??」

大野の栄光と没落

ジリジリと陽に焦がされながら、自転車を漕いだ。
こんな日には、全然風も吹かない。
学校前のコンビニにさくらいがいた。
カシャンとスタンドを立てて、中に入る。
「さくらいーおはよー」

さくらいは今日も寝癖がひどい。
オイラが描くスケッチはその日のさくらいをそのまま写し取るから・・
いろんな寝癖のコレクションになってる。

コンビニからはさくらいと一緒に歩く。
自転車置場に行ってる間、さくらいは待っててくれていた。
「炎色反応の準備しとくから、大野はプール膨らませて水張っといて。
化学室のすぐ外」

ジリジリしたこの中でやれってか?
膨らますとこまでは、化学室の中でやろう。
化学室の隅でビニールプールを膨らませる。
プールと一緒に膨らますためのポンプもあったからすぐ終わった。

さくらいは、不器用そうに棒の先に金属っぽいものをくっつけてる。
なんで、そんなに不器用かなぁ・・
「さくらい、オイラがやってやる。
これをここにつければいいの?」

「そう」

さくらいはホッとした顔をした。
実は困ってたんだな。
人に頼るのが下手だな、って。
最近、気がついた。

オイラだけが知ってるさくらい。
そんなだから・・・ほっとけない。

眼鏡邪魔だな。
掠めるようにキスをした。

「眼鏡しないほうがいいのに」

さくらいはオイラの言うことを聞き流した。
いつもみたいに、何事もなかったようにふるまって。
オイラの手の中の眼鏡を取って、かけ直した。

花火を分解するのだって・・なんか見てられない。
ほら、って、さくらいから奪い取るようにして、その作業も変わった。
準備ができた実験器具を前に教師みたいにさくらいが説明し始める。
さくらいとオイラしかいない。
個人授業。
「聞いてるか?大野?」

「んと・・・燃やす?火で炙るんだろ?」

「そう、ガスバーナー使うから、火傷に気をつけろよ。
後でレポートにしてもらうから。
ちゃんと結果を記録しとけ」
さくらいがガスバーナーに火を点けた。
促されて何かを付けた棒を火にかざした。
「緑だ」
「これは銅」

「水色」
「バリウム」

「ピンク」
「カリウム」

「黄色」
「これは・・・食塩。ナトリウムでも同じ色になる。
ナトリウムを出すのが面倒だったから、食塩で代用した」

「ふーん・・・」
「じゃあ、次に花火の中身な。
ホントは花火は分解してはいけない。
一人ではやるなよ」

こんなことさくらいと一緒じゃないとやらないって。

花火がいろんな色になるのは、この反応を利用しているとかなんとか。
さくらいが説明してるのを、聞き流しながら、また、火で炙った。

いろんな色が出て。
さくらいが解説を話す。
さくらいって声もいいよな。
さすがに声はスケッチできない。

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