今そこにある女装

女装

女装 前略、手塚先生。21世紀に間に合いました。

女装に関する豆知識を集めてみた

「執事のお仕事」のふたりです何でも大丈夫な方向けです・・・

『絶対に、僕が良いって言うまで部屋には入って来ないで』
学校から帰宅するや否や、わざわざ玄関で出迎えてやった俺にそう言ったのは、俺が執事として仕えるシム家の長男であるチャンミンだ
階段を駆け上がり、あっという間に自室へと消えていってしまった
この家の主であるチャンミンの両親は今夜は仕事関係のパーティーで帰宅は遅くなるらしいチャンミンの1歳下の妹、スヨンは両親の帰りが遅いから、と彼氏とデートに出掛けている勿論『絶対にパパとママには内緒にしてね』と念を押されているのだが…
つまり、この広過ぎる家には今執事である俺と、お坊っちゃんのチャンミンふたりだけそして、俺達は恋人同士それなのに…
「部屋に来るな?ふたりの時は、チャンミンは主人じゃないんだから別に言いつけを守る必要は無いよな…」
掃除も終わった洗濯も終わった執事としての仕事は、後はチャンミンの相手をするくらいだ
足音を立てないように階段をゆっくり上がり、突き当たりの部屋の扉をそうっと開いた
「チャンミナ?いつまで経っても呼ばれないから来た…………え…チャンミナ?」
「ユノっまだ良いって言ってない!何で勝手に…」
部屋の奥、大きな姿見の前に立っていたのは確かにチャンミンで…けれども、いつもと違って俺のお坊っちゃんは…
「どうしてそんな恰好を?」
「……っばか!ユノのばか!」
隣のベッドに潜り込んであっという間に隠れて…けれども、『頭隠して尻隠さず』じゃあなくて頭は隠して黒い膝丈のスカートから覗いた白くて長い素足は隠れていない
あっという間に膝から上は隠れてしまったけれども、チャンミンは確かに、この10年間で初めて見る姿だったんだ
「チャンミンさん…どうしてメイドのような恰好を?」
ベッドの上、こんもりと盛り上がった塊に向かって優しく呼び掛けてみる答えは無くて、シーツから飛び出た白い足がびくっと震えたから、くるぶしから上に、人差し指で撫で上げてみる
「……っん」
「話してくださらないと、チャンミンさんの好きなキスもしてあげませんよ?」
「やっ…それ、敬語やだぁ」
シーツの中に逃げようとする足を左手で掴んで右の指先で無防備な膝を撫ぜて、そのままシーツの中の太腿まで掌を這わせる
「あっ…ユノ、駄目…っ」
「こんな所に隠れたって無駄だって分かってるだろ?観念して可愛い顔を見せて?」
脚に触れられただけで、敏感な身体からは力が抜けたようでシーツを掴む手の力も弱まったから思いっきりシーツを剥いでみた
「…ひっ…ユノのばか、お願い…っ見ないで」
ベッドに俯せになっているのは確にチャンミンこの家のお坊っちゃん、つまり勿論男でもどう見ても、今このお坊っちゃんは…長袖の、首まで詰まった黒い膝丈のワンピースに白いフリルの付いたエプロン姿で…細いウエストをもっと細く見せる黒いワンピースとそこを目立たせるような白いエプロンのリボンが、後ろ姿を印象づけている
「入って来ないでって言ってたのは、ひとりでこっそりコスプレをする為?チャンミンさんにそんな趣味が有ったとは知りませんでした」
あまりにも可愛くて、思わずくすりと笑ったらベッドに埋もれていた頭が持ち上がってこちらを振り向く
「違っ…もう着替えるから出ていってそれにふたりきりの時は敬語は無しって言ってるのに…こんなの気持ち悪いって分かってるからもう忘れてよお願いだから…」
部屋に入った瞬間、姿見に映った顔を一瞬見ただけだったから、どうなっているのか分かっていなかったがメイクは何もしていないようだふわりと膨らんだスカート、長袖に首の詰まったワンピースで禁欲的なのに、中性的であるとは言え確かに少年のままの顔で…そのアンバランスさが倒錯的で、思わず唾を飲み込んだ
「どうして脱ぐの?勿体無いから脱がなくて良いよ俺しか見てないんだから…」
「だって、ユノが…コスプレとか趣味とか…そんなんじゃ無いのに…」
大きなベッドの上でちょこんと座る、メイド姿のチャンミンどうして『そう』なっているのかは分からないけれど、正直誘っていると思われても仕方無い自覚なんて無いのだろうけど…
ベッドの端に腰掛けて、「おいで」と優しく怖がらせないように微笑んでみると下唇を少し噛み締めて俯いて…それから逡巡するように視線を泳がせる両手を広げて「ん」と言ったら、上目遣いでちらりと俺を見て、それからゆっくりベッドの上を移動して俺の右隣にやって来た
「良い子だな、チャンミナ」
「気持ち悪くないの…?」
「どうして?こんなに可愛いのに…」
「んっ…ユノ……」
黒い長袖と白いフリルのカフスから覗いた滑らかな手をそっと持ち上げて、左の手の甲に口付けた
顔を上げると視線は絡んで、もうチャンミンの瞳は欲に潤んでいる
「可愛いチャンミナは俺だけのものなのに、それを俺にも内緒にするなんて酷いなあ」
「内緒になんて…」
「じゃあ、どうして?何でメイドになったの?」
恭しく手の甲を持ったまま、可愛いメイドの顔を覗き込む
「…言っても呆れない?」
「俺がチャンミナに?」
「うん…僕の事嫌いにならない?」
「あはは、8歳の頃から見てるのに、今更?チャンミナの全てを知っていると思ったのに、教えてくれない方が嫌いになってしまうかも…それでも良いの?」
「やだっ…言うから…」
普段は、家族の前でも少し我儘で勝ち気なお坊ちゃま俺にだってツン、としているのに、ふたりきりになるとこんなにも可愛くなってしまう10年前に出会った時に俺に一目惚れしたんだと言う、可愛い可愛い俺だけのチャンミンだから、全部話して欲しいんだ
「…スヨンに渡された」
「この服を?メイドの?」
「昨日は、メイドの日だったから、って…」
「メイドの日?」
顔を真っ赤に染めてぼそぼそと小さく話すチャンミン聞けば、妹のスヨンが数日前に学校で友人達と5月10日はメイドの日、だと盛り上がったのだと言うそして、各々メイド姿で彼氏を喜ばせよう、なんて言う計画が持ち上がり、学校帰りに駅前の大型バラエティーショップに寄ってメイド服を数着買ったらしい
スヨンもチャンミンと同じく普段は聡明で、兄よりも冷静な性格だと思っていたけれど、最近彼氏が出来たらしく、それにお嬢様だとは言ってもやはり、学校ではひとりの10代の女子なのだろう
「それで?どうしてスヨンさんが買ったメイド服をチャンミナが?」
「…これは、僕用に買ったからって…」
「え?」
思わず素で聞き返してしまったら、耳まで真っ赤にして俯く、可愛いメイド姿の恋人スカートの上の白
いエプロンを両手でぎゅう、と掴む姿は普段のお坊っちゃんからは想像出来ない
女になんて困った事は無かったのに、チャンミンは小さな頃から知っている14も歳下のこどもなのに、こんな仕草ひとつで心が掻き乱されて視線が逸らせなくなってしまう
じっと見つめていると、「見ないで」と小さくかき消えそうな声
「可愛いから見ない、なんて無理」
「気持ち悪く無いの?」
「どうして?チャンミナがあまりにも可愛いくて…それなのにその姿を俺に隠していた事に嫉妬しているのに?」
なかなか理由を教えてくれない恥ずかしがり屋で頑固な恋人こちらから歩み寄ってみると、漸くほっとしたような顔をするんだ
「スヨンさんに渡されたから素直に着たの?チャンミナは自分から女装するような子じゃ無いだろう?」
「……スヨンは僕達の事を知ってるから…それで、僕がこの服を着ればユノが喜んでくれるんじゃないかって、そう言われて、それで……」
やっぱり俯きながら話すところを見ると、どうやら本当にそうなのだろう恥ずかしいし嫌だけど、可愛い妹に「ユノが喜ぶから着なきゃ駄目よ」とでも押されたのだと簡単に想像がついた
まあ、確かに内心物凄く喜んでいるだって、こんなに可愛いメイドなんてこの世のどこを探したって居ないに違いないんだから
「じゃあ、昨日着なかったのは?」
「恥ずかしくて、ずっと迷ってて…でも、今日スヨンに言われたんだ頑張らないと飽きられるって…そんなの嫌だから…」
「飽きる訳無いよ、おいで」
「え……わっ…」
腰と太腿の下に腕をまわして、軽い身体を抱き上げて膝の上に跨がせるように乗せた向かい合うと、すぐに視線を逸らしてしまういつもより恥ずかしがるのは、メイド服を着ているからなのだろう
「ちゃんと理由を教えてくれたから、キスしようか」
頬に掌を添えると、少し目を細めてうっとりと擦り寄せてくる
「ユノ、嫌いにならない?僕の事、飽きたりしない?」
「好き過ぎて毎日困ってるくらいだよ」
「…僕も好き、ユノしか見てない…っん……」
唇を重ねて、角度を変えて啄む
「チャンミナは今日は、俺だけのメイドだから言う事をちゃんと聞かないと…分かった?」
「んぅ…」
小さくこくこくと頷く
ゆっくりと、けれども深く口付けながら露わになった白い太腿を撫ぜると、それだけでチャンミンの腰は揺らめく
今日は、旦那様も奥様も、そしてスヨンも帰宅は遅い目の前には可愛い俺だけのメイド
まるで少年のように胸は踊って、求めるように差し出された舌に己のものを深く絡めた
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読んでくださりありがとうございます「執事のお仕事」のふたりで1日遅れの5月10日「メイドの日」SSでした趣味に走ったので受け入れて頂ける内容か不安ですが、もしも反応が良ければこの後も描けたら・・・
メイド服はこんなイメージでした
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