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はじめに誰かが線を引いた。やがて、それがオーディションになった。

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先週、学校で今年度最後のバンドコンサートが開かれた。  この辺りの地域のバンドレベルよりシカゴの方が高かったため、ムスコのガル男は、いつしか、ひと学年上の8年生バンドと掛け持ちで演奏するようになっていたのである。 コンサートは7年生バンドから演奏。演奏が終わると、7年生が退出し、8年生がステージに現れるという段取りであった。 8年生をかけ持つガル男は、そのまま着席し、8年生がやってくるのを待っていた。その時である。 先生がマイクを持ち、親たちが座る客席へ向けて喋り始めたのだ。「ここにいるのは、ガル男、7年生なんだけど、カレは今から8年生でも一緒に演奏します」と。 「カレは、オーボエを吹いててね、7年生なのに、なんとオールステイト(ネバダ州代表)に選ばれて先日演奏してきたんです」というとオーディエンスから、おぉぉぉ~という声が上がる。 し~か~も~と先生、煽り口調。ザキヤマかっ 「カレがオールステイトに選ばれたのは、サックス。学校でやっていない楽器で選ばれたんです。」 ざわつく観客席。ワタクシは44年、生きてきて、一般的に人前で無条件に長い時間かけて褒められるのは、披露宴の高砂席に座っている時だけだと思ってきたのだが、ちゃうかった。 「で、オーボエの腕前はというと、もちろんオナーバンド(郡代表)で選ばれてるから、つまり、どっちの楽器も出来るという証拠。すごい才能なのよ~」 と。ゲェ吐きそうに親子で緊張したオーディションや、前見えへんくらいの叩きつけられる雨の中、レッスンに通った日々など、走馬灯のように思い出されていく死ぬんか?  そして先生が最後に、「ガル男に大きな拍手を~」と言った。こんな時、アメリカでは、両親が率先して指笛を鳴らしたり、名前を叫んだり、ふぉぉ~とか言うのがお決まりだ。ワタクシ、少し恥ずかしかったものの、ここは音を出さねば、とフォォォ~と出した。きっと旦那もその後についてきてくれるだろう、と信じて。  しかし、旦那から「追っかけ叫び」が聞こえてこない。横を見ると、優しく微笑んでいるだけであった。  オマエは菩薩かっ。 せっかくの偉業をたたえるこんなシーン。不慣れなオカンの音だけでは寂しすぎた。すると斜め後ろにいた今日初めて会ったというお父さんが、フゥゥゥゥ~とう大きな音を出して助けてくれたのだ。  あっさりとワタクシを裏切った旦那は、その後も優しく微笑み続けていた。そら、もう、国宝級のやさし~微笑みでしたわ。    そんな旦那を見るワタシの顔は、仁王像バリに怒っていたに違いない・・・。
 

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