なぜ女装は生き残ることが出来たか
お久しぶりです。 今日の深夜2時25分から、『真夜中』(フジテレビ系列)という番組が放送されます。 リリー・フランキーさんと指原莉乃さんが真夜中の街や人間模様を訪ね歩く番組で、先々週から私が案内役として新宿2丁目のお店や女装・ドラァグクイーンをいろいろと紹介しています。 今夜は、日本のドラァグクイーン界にとって、おそらく歴史的な回になるであろうアノ人が登場します。アノ人と言っても、これを読んでいる人たちにはまったくもって縁もゆかりもない人ですが。とにかくアノ人が、このような形でテレビに出ることは、ほとんどないので、もし起きてらしたら是非ご覧ください。 アノ人というのは、日本のドラァグクイーン界の母であるマーガレットさんです。さらにお暇な方は、「マーガレット/ドラァグクイーン」で検索してみてください。 昔から『マーガレットさんの皺の本数を夜中に数えると、数えた分だけ幸せが舞い込む』という言い伝えがあります。 是非、今夜の『真夜中』で、画面越しに『皺数え』して、みんなで幸せになりましょう。 写真は10年ぐらい前
女装 奇抜は風化する、本質は残る。
神戸に帰省の折にお会いできないでしょうか? 2017年クリスマスの日、私は1通のメールを受け取っていました。 某掲示板で知り合い、その後、私がブログに移行した際についてきたネット仲間でした。 初めは断ろうと思ったのですが、文面を見ると、身分を明かした真摯なものの言いようです。 何よりも彼のブログの素晴らしい内容には舌を巻いていましたので、まあ飯でも食ってネット談義でもするか、と了承しました。 2017年12月30日の朝 ジーンズを履き、フライトジャケットを羽織ってふと思いました。 待てよ、奴は女性化した私に期待して来るのだろう。 それをB面で行ったらガッカリするだろうよ。 よし、決めた。フル装備で行ってやる。 私はジーンズとG-1フライトジャケットを脱ぎ捨てて着替え始めました。 髪を下ろし、覚えたてのメイクをしてアクセサリー類を付け、白いニットにワイドパンツ、トレンチコート、そしてパンプスを履いて出かけました。 見せてやろう 本物のバケモノがどんなものかを 神戸駅に着き、トイレでリップを塗り直しました。 もちろんのこと、彼は私が男であることなど百も承知です。 「たぶん誰か分からへんやろなw」 そう思ったのですが、改札を出ると、彼は目ざとく私を見つけて近寄ってきました。 軽い挨拶を交わして予約していたレストランへ入りました。 さて、どうだ? 私はどんな感じだ? ウケるだろ? さあさあ、イケてるところ、オカマ全としてダメなところ、何でも遠慮なく言ってくれ。 同じ関西人同士、私の女装に爆笑して、和やかにネット談義ができるものと思っていました。 ところが、彼はしばらく前菜に手をつけようともしません。 目を合わせず、ちらちらと私の顔を見て、口ごもりながら近況などをポツポツと話します。 師走だというのに額にはえらく汗をかいており、しきりにそれを拭います。 これはまた気の弱い、内気な人が来たものだな・・・ こんな性格で、ネットで言葉をかわしていたとはいえ、よく見ず知らずの人間に「会ってくれ」などというメールなどできたものだ。 2時間ほど話しているうちに、私は彼の至極真面目な態度に好感を持ち、食後お別れをする予定を変更して、もう少し彼を観察することにしました。 神戸の街を案内しながら少し話しました。 どうもおかしい・・・ なんだ、この違和感は?? 慣れないパンプスにも疲れてきたので、カトリック神戸中央教会前のカフェに入り、少し話し込みました。 私の横顔をじっと見つめているのがわかりました・・・ だんだんとわかってきました・・・ 彼が何を感じているのかが・・・ この人は私を完全に女として扱っている!? 急に滾るような羞恥が胸にこみ上げてきました。 動悸が激しくなり、じっとりと汗をかきはじめました。 もうダメだ、はっきりしてくれ、白黒つけよう。 思い切って、心の中で目をつぶって、私は彼に問いました。 私は・・・女でしょうか? すると、彼は今までの気弱な態度と伏し目がちの視線を捨て、私が驚くほど真っ直ぐに私の目を見ながらこう言ったのでした。 はい そうなのか・・・ そうだったのか・・・・ そう思っていたのか・・・・・ もう私は限界でした。 この後、北野町のフレンチあたりにディナーに行って、と考えていたのを取りやめました。 彼には申し訳なかったのですが、三宮駅に送って行き、握手で再会を約束して見送りました。 地に足が着かないような感じで、私は元町のカフェへ向かいました。 豆乳ラテを注文して思いっきり甘くしてそれを眺めました。 後から後から止めどなく涙が溢れてきました。 嗚咽が漏れ、それを押し止めるのに苦労しました。 「大丈夫ですか?」 若い女性スタッフがおしぼりを持って、心配そうに声をかけてきました。 これが私にとって、先に申し上げた、RLE (Real Life Experience) の総仕上げ、突如現れた判定者 (Judge) による審判でした。 今までも女装で街なかに出かけて買い物などをやっていましたし、いわゆる「完パス」の状態にはありました。 しかし、常にこれは「思いやりパス」ではないのか?そういう疑念がつきまとっていたわけです。 これを機に、私はいわゆる洒落でやっていた女装を、まさに自分自身のもの、体の一部として捉え始めました。 自慢だった体の画像投稿をやめて、某掲示板を引退しました。 謎のネットユーザー、「C75」から「貴美」へ変貌を遂げた瞬間でした。 注)ストーリー、登場人物、地名等はすべてフィクションですw
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