オーディション うまいんだな、これがっ。

オーディション

遠く離れていても、オーディションを見上げれば、同じ空を見れる。

ヒューストン・バレエ・アカデミーの発表会『スプリング・ショーケース』を観ました。
会場はヒューストン大学構内にあるムーアズ・オペラハウス。いつもはヒューストン・バレエのそばにあるウォーザム・センターという劇場で開催されるのですが、そこは昨年8月にハリケーンの被害を受けて以来、まだ使えない状態なのだそうです
ムーアズ・オペラハウスは小さな会場でしたが、なかなか綺麗でした。

1、2回目は1階の割と前側の席で観ましたが、3回目はステージの向かって右側にある2階のボックス席を選びました。ステージを上から見るのは初めてでしたが、なかなか良かったです。
最初の演目は『ライモンダ』の抜粋。息子は、6人の男子による踊りとマズルカに出ました。

6人の男子による踊りは、息子の好きなピルエットやトゥールが入っていましたが、ダブルトゥールはやはり毎回成功するかどうかが心配になります。着地でよろけたら格好悪いですしね……でも、男子たちはどの子も綺麗にトゥールを決めていました。

マズルカではパートナリングがあったので、これまたドキドキ……やはり息子はまだパートナリングが上手とは言えないので、女子を頭上に持ち上げるといった振付はやらされていませんでしたが、ジャンプした女子をふわりと持ち上げて着地させる……といったことはちゃんとできていました。でも余裕がないようで、若干「よっこらしょ」という感じがありました(笑)

主役の男子はヒューストン・バレエⅡのG君でした。大きな目がキラキラしていて、まるで漫画に出てくる王子様です。彼はスウェーデン王立バレエ団に入団することが決まっているため、HBAの生徒として踊るのはこれが最後です。G君はパートナリングはバッチリですし、ソロではダブルトゥールやソデバスクを連続でビシバシ決めて、会場を沸かせていました。実はヒューストン・バレエ団もG君が欲しかったようなのですが、その正式決定に手間取っている間に、G君はグランドオーディションで良いオファーを提示してきたスウェーデン王立バレエ団の方に行くことに決めたのだそうです。
息子は「ヒューストンとスウェーデン王立だったら、そりゃあスウェーデンの方がいいでしょ! Gの決断は当然だよ」と言っています。
次に息子が出た演目は『ザ・ジェントルメン』。これはヒューストン・バレエ団の芸術監督、スタントン・ウェルチさんによるもので、ヒューストン・バレエ団の元取締役、セシル・コナー Jr.さんををモデルにした作品だそうです。
衣装は、セシルさんのトレードマークである蝶ネクタイとサスペンダーがポイントです。メインカンパニーの方々が同じ演目を踊った時の写真を拝借しました↓

焦ったり怒ったり混乱したりとコミカルな動きが満載のコンテンポラリー作品で、会場からはときどき笑い声が上がっていました。『アルゴリズムたいそう』のように、ダンサーたちが1段階ずつずれた動きで踊りながらも絶妙に関わり合う場面があるかと思えば、上の写真のように全員が揃って舞台を駆けるといったダイナミックな場面もあり、メリハリのある作品でした。

しかも最後の挨拶はお辞儀ではなく、全員が無表情で一歩前に出て蝶ネクタイの位置を両手で直し、また一歩下がる……というもので、かわいかったです。

私はスタントンさんがどういう振付師なのかを知りませんでしたが、これは何度でも見たくなる作品です。プロのダンサーたちが踊ったら、もっと素晴らしいんだろうな〜。

後半は『スタディーズ』という、プロ養成科よりも下のクラスの発表でしたが、観客を飽きさせない工夫がありました。

この演目では、年齢層の低いクラスから順番にレオタード姿の子供たちが出てきて、基礎的なバレエの動きを披露するのですが、そのすべてにプロ2(プロ養成科上級クラス)の男女1組が綺麗な衣装を着て登場して一緒に踊ります。昔息子が通っていた教室でも似たようなことをしていたのですが、その時は大きいお兄さんお姉さんの動きを小さい子たちがそっくりそのまま真似する……という形でした。しかしこの『スタディーズ』では、お兄さんお姉さんのパドドゥを子供たちがコール・ド・バレエとしてサポートする、という形になっていました。

こうすれば、子供たちは自分も一緒に舞台を創り上げているという喜びが感じられるでしょうし、保護者たちはそれを誇らしく思うでしょう。また、小さい子供の踊りに興味がない人も、お兄さんお姉さんの方を中心に見ていれば退屈しないと思います。

この演目にも息子が登場し、ちょろっとソロで踊ったりしたので、私たち夫婦も楽しめました。

『スタディーズ』が終われば発表会は終わり。カーテンコールだけは写真撮影が許可されているらしく、たくさんの人が写真を撮っていたので、私もスマホで撮影しちゃいました。左側にいる3組のペアのうち、中央にいるのが息子です(顔が隠れていますが)。

そうそう、今回の発表会では優秀生徒の表彰もあったのですが、プロ養成科カテゴリーで息子がそれを受賞しました(レベル別に4つのカテゴリーがあり、男女各1名が選出されます)。

息子は自分が受賞することを直前まで知らなかったため、「今から表彰があるから舞台に戻って!」と呼び出された時はびっくりしたそうです。もちろん私も夫もびっくり。アカデミーのディレクターに名前を呼ばれて息子が登場した時、「え〜っ?!」とお互いに顔を見合わせてしまいました

パフォーマンス自体も良かったし、表彰されるところを見られたし、お金と時間をかけて観に行った甲斐がありました

オーディションを極めるためのウェブサイト10個

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