秋のマイル王決定戦、マイルチャンピオンシップ。
春のマイルG1・安田記念の1着馬ウオッカ、2着馬ディープスカイ、3着ファリダットの参戦はなく、やや重厚感に欠くメンバーとなった。
その中で話題の中心はカンパニーだった。
天皇賞秋で2着スクリーンヒーロー、3着ウオッカを破り、8歳で初の栄冠に輝いた。
3歳1月デビュー、ラジオたんぱ賞(現ラジオNIKKEI賞)2着から頭角を現し、G1では力及ばずも重賞を4歳・1勝、5歳・1勝、6歳・1勝、7歳2勝、8歳・2勝。現役でも数少ない重賞7勝馬。
年齢を数えるとともに落ちる能力。生きとし生けるものに訪れる『老い』。
カンパニーは逆行した。
2004年、菊花賞9着。2005年、安田記念5着。2006年、安田記念11着、宝塚記念5着。2007年、天皇賞秋3着、マイルチャンピオンシップ5着。2008年、宝塚記念8着、安田記念4着、マイルチャンピオンシップ4着。2009年、安田記念4着、宝塚記念4着、・・・・・・そして、天皇賞秋1着。
常識を超えたカンパニー。史上初の8歳馬による平地G1制覇。
8歳にして、己が競走馬最高の充実期を迎えるのか?
マイルチャンピオンシップに、G1連覇をかけるッ。
国際競走、サプレザ、エヴァズリクエスト、2頭の外国馬が来日したが、本気で獲りに来た強豪牝馬といわれたのが、サプレザだ。
フランス・イギリスで9戦4勝、2着2回、3着1回。着外2回は4着という堅実性は『優れた順応力と精神力』と評価された4歳牝馬。
イギリスG1・サンチャリオットSを制覇しての来日。
カンパニーの最強の敵となるのは、この馬か!
復権なるか?皐月賞馬キャプテントゥーレ。
皐月賞後、左第3手根骨骨折。
復帰したのは1年4カ月後だった。
8月、関屋記念4着。9月、朝日チャレンジカップ1着。
復活を見せたか、と思われたが天皇賞秋は12着。
勝負をかける・・・・・・時はきた!
ディープスカイのダービー2着馬スマイルジャック。
菊花賞16着以後、マイルを中心にシフト。
8月の関屋記念では、上がり32秒5、父タニノギムレットを彷彿させる切れ味で勝利した。
天皇賞秋は11着惨敗も、マイルで真価を発揮するか!
半兄にマルカシェンクをもつ良血ザレマ。
5歳になり京都牝馬S3着、中山牝馬S4着、阪神牝馬S2着、ヴィクトリアマイル4着。
実力を発揮し始め、秋には京成杯オータムハンデを勝利して重賞初制覇。
直前の富士Sはアブソリュートの5着も、差は0.1秒差。
日本馬唯一の牝馬として、『マイル女王』の座に挑戦する。
妹ともに・・・・・・挑戦するのは、ザレマの半兄マルカシェンクだ。
新馬戦からデイリー杯2歳Sを含め3連勝し、クラシック候補といわれた逸材。
骨折が歯車を狂わせたか?
ダービー4着、菊花賞7着、マイルチャンピオンシップ12着、6着。
G1好走歴のないまま6歳秋を迎えた。
直前の富士Sはザレマと兄妹対決。兄の貫禄を見せアブソリュートの2着。
マイルチャンピオンシップでも見せたい、兄としての力。
スマイルジャックと同じタニノギムレット産駒アブソリュート。
母は桜花賞3着プライムステージ。祖母は『女優』ダイナアクトレスだ。
5歳になって東京新聞杯1着、富士S1着、マイル重賞2勝。
良血を発揮し始めた。
11月22日、マイルチャンピオンシップ。
1.エヴァズリクエスト
2.トレノジュビリー
3.マルカシェンク
4.カンパニー
5.スマイルジャック
6.ファイングレイン
7.アブソリュート
8.フィフスペトル
9.キャプテントゥーレ
10.スズカコーズウェイ
11.ザレマ
12.ヒカルオオゾラ
13.マイネルファルケ
14.ストロングガルーダ
15.サプレザ
16.サンカルロ
17.ライブコンサート
18.サンダルフォン
1番人気カンパニー、2番人気サプレザ、3番人気キャプテントゥーレ。
4番人気スマイルジャック、5番人気ザレマ。
レース当日、ここをラストランと発表されたカンパニー。
エスコートするのは、ともに天皇賞秋を戦った横山典弘だ。
マイネルファルケ、キャプテントゥーレが競り合ったハナ争い。
スンナリ先手を取ったのは14番人気マイネルファルケだ。
初騎乗・和田竜二の何がなんでも行く構えが、キャプテントゥーレ・川田将雅を2番手に下げさせた。
3番手にエヴァリクエスト、ヒカルオオゾラが並び、
ザレマ、サプレザが好位につけた。
中団前、内々を行くカンパニー。
後方につけたスマイルジャック。
後方2頭目がアブソリュート。
最後方からポツンと行くのがマルカシェンクだ。
3ハロン34秒8、G1マイルとしては、スローな流れ。
上手く演出したマイネルファルケ鞍上、和田竜二。
流れるままに直線に入った。
最内を逃げるマイネルファルケ。
小雨降る中、馬場の外に持ち出したキャプテントゥーレ。
その間を突いたのが、カンパニーだ!
内々で脚を溜めたカンパニー。
一気に末脚を爆発させた!
8歳、ラストラン。
このレースを最後にするのが惜しいほどの力強さ。
年齢など、俺に関係、ないッ!
それは、魂の走りか?
逃げるマイネルファルケを交わし、
突き放した!
粘るマイネルファルケ!
差し込む外国馬サプレザ!
復権を誓うキャプテントゥーレ!
後方から追い込みに懸けるアブソリュート!スマイルジャック!
熾烈な戦いを背にして、ゴールへ飛び込んだカンパニー!
誰も成し得なかった8歳でのG1勝利。
天皇賞秋、マイルチャンピオンシップ、連覇でラストランを飾った。
1着カンパニー
1馬身4分の1
2着マイネルファルケ
クビ
3着サプレザ
ハナ
4着キャプテントゥーレ
4分の3馬身
5着アブソリュート
(つづく)